米国市場に真っ当なプロレスを見る

コカ・コーラ社がスポーツドリンクの「ボディアーマー」に出資する事を表明しました。
今回の出資でコカ・コーラはボディアーマーの第2位の株主となります。


これによりコカ・コーラはスポーツドリンク界の絶対王者・ゲータレードに戦いを挑みます。


米国内スポーツドリンク市場のシェアは
1位 ゲータレード(ペプシコ社)
2位 パワーエイド(コカ・コーラ社)
3位 ボディアーマー


となっていますが、中でも1位のペプシコ:ゲータレードがシェア75%と圧倒的支配者です


3位のボディアーマーという商品は日本では馴染みがありませんが、米国ではゲータレード(ペプシコ社)、パワーレード(コカ・コーラ社)に次ぐ第3位のスポーツドリンクというポジションにあります(ただしシェアは6%以下しかありません)。




特徴的なのはボディアーマーのテレビCMで、徹底的にゲータレードに突っかかっていきます




例えばバスケットボールのNBAのスター選手、ジェームス・ハーデンを起用したCM。


何やら古びた衣装でバスケの試合に向かうジェームス・ハーデン



ナレーター「ジェームス・ハーデンはこんな時代遅れの衣装を来て試合に臨む事はない。それではなぜ彼は、スポーツドリンクは時代遅れな物を選ぶのだろうか?」


ハーデン「NO. 俺は(そんな古臭いものは)選ばない」


ナレーター「そう、彼は古臭いスポーツドリンクは選ばない。今までありがとうゲータレード。これからは我々の時代だ。




ゲータレード=古臭い、旧態依然、時代遅れ、という扱いにして、熱くけなします。



米国お得意の比較広告というやつで、ボディアーマーはこの調子で他にも様々なCM等で、露骨に、時に名指しでゲータレードを攻撃します。



突っかけていく市場シェア3位ボディアーマー(挑戦者)、迎え撃つ市場シェアトップペプシ(王者)。


コカ・コーラがボディアーマに出資することから、今後この戦いはシェア1位ペプシvsシェア2位・3位コカ・コーラという、スポーツドリンク戦争に発展していくでしょう。



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でもこの図式、コーラ市場のトップシェア:コカ・コーラとシェア2位:ペプシによる「コーラ戦争」とよく似ています。っていうか同じです。


ペプシ対コカ・コーラで似たようなCMはいくつもあります。


例えば子供が自販機でコカ・コーラ缶を買い、それを踏み台にして高いところにあるペプシのボタンを押してペプシだけ買って帰るというCM(放映禁止になったみたいですが)や、MCハマーを起用した有名な比較CMなどがあります。




スポーツドリンク市場とコーラ市場とでは王者と挑戦者が逆になっている違いはありますが、これらの戦いは要するに、単に相手の商品を蔑んだり貶めたりしているのではなく、お互いをライバルとしてリスペクトしつつ、長年に渡り市場でシェアを争うことにより醸成された信頼関係が構築され、その上でお互い全力でぶち当たるという、いわば真っ当なプロレスです。



こんなハロウィン広告もありました(右のコカコーラの反論はネット住人が創作した架空の反論ですが。おそらくコカ・コーラならこういう風に返すだろう、的な)。

ペプシ「あなたにとびきり怖いハロウィンが訪れますように!」

コカ・コーラ「誰も皆、ヒーローに憧れる」





信頼関係が成立している上での殴り合いですから、観客(消費者)も安心して観戦することができます。



そういえば最近、これと似た図式を米国株村で見たような・・・




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余談ですが私がブログを始めたのは2018年7月ですが、何名かの米国株ブロガーさんのファンになり、その方々に影響されたのがブログを始めたきっかけでした。


私が影響を受けたブロガーさんの一人は霧末さんです。


当時は背景が能面の怪しげなブログで、最初はナンダコレと思いましたが、中毒性がありすぐ引き込まれました。


ご本人は自らを「糞ブログ」などと卑下されていますが、実のところとんでもない、本当にセンスのある面白いブログであると感じます。


センスと愛情に満ちた偉大なブロガーである霧末さんが、これまた私が尊敬する米国株村上位ランカーの方々とガチンコで対戦する。


楽しみで仕方ありません。



信頼関係で結ばれた者同士が全力でぶち込み合うプロレスを見られる事を、大変幸せに感じます。



そのような戦いを繰り広げる事を許される挑戦者は、愛情と糞の塊である霧末センパイ以外いないと思います。


(「グラップラー刃牙外伝」より、マウント斗羽とアントニオ猪狩)

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