GE(ゼネラルエレクトリック)のラリー・カルプ新CEO、ケタ違いの報酬体系に株主が若干焦る

GEスマイル(367億円)



"GE、新CEOに賭ける3億ドル(ウォール・ストリート・ジャーナル2018.10.4)"


ゼネラルエレクトリック(GE)の新CEO、ラリー・カルプ氏の報酬が明らかになりました。


(金額は全て1ドル=113円で計算しています)


氏が署名した契約書によると、まず、任期は4年です。
ベースサラリーが250万ドル(約2.8億円)、ボーナスが375万ドル(約4.2億円)で年収およそ625万ドル(約7億円)との事です。


次に、年間株式報奨と呼ばれる業績連動型特別報酬が、年1500万ドル(約17億円)支払われます。


よって年収は7億円+17億円=24億円です。ただし17億円部分は業績連動なので年によって変動があります。


更にこれとは別に、就任から4年間、GEの株価が50%上昇*するごとに250万株が報酬として支給されます。


(*30営業日以上その水準にとどまった場合。また、比較対象となる株価はカルプCEOが就任する直前1ヶ月間の平均株価。)


50%の上昇は株価でいうと18.6ドルとなり、その場合カルプCEOが受け取る特別報酬は4,650万ドル(約53億円)です。


株価がもし2.5倍の31ドルに達した場合、カルプCEOは750万株・時価2億3200万ドル(約260億円)を受け取ります。


最後に、退職金が1250万ドル(約14億円)。



*****



つまり、まとめるこうなります。

  • CEOの報酬として年収24億円の4年契約で約100億円。
  • 株価をスタート地点の12.4ドルから18.6ドルまで1.5倍に引き上げると、特別ボーナス53億円。
  • 株価を2.5倍の31ドルにすると、更に200億円の特別ボーナス。
  • 退職金14億円

締めて367億円(最低でも114億円)!


・・・・GEって給料良いんですね!



ところでこの報酬、株主的にはどうなんですかね?


ウォール・ストリート・ジャーナルの原文記事のコメント欄は、「報酬が高すぎるだろ!」という雰囲気で若干荒れてました。


しかしCEOにこれだけ渡しておけば、「減配!」とか「無配転落!」とか、意地でも、死んでも言わなそうな気がしませんか?


そんな事しようものなら超絶無能経営者として後ろ指さされてポイですよ。
ああでも「配当を廃止したおかげで株価が1.5倍になりました!」
→これならOKですね。全然問題ない。むしろ有能。


という事で株主的にはむしろ歓迎すべき内容だったのではないでしょうか。


だからこのニュースの発表後にも関わらず株価は昨晩だけで4%も上がったと。


・・・・というのは考えが甘いですかね?



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一応気になったので、栄光時代のCEOの報酬と比べてみましたよ。


ジャック・ウェルチ(任期1981〜2001)

  • 報酬総額 7億2000万ドル(現在のレートで約810億円)
  • 退職金 4億2000万ドル(約470億円)
  • 合計 11億4000万ドル(約1,280億円)
  • 退任時の株価:約40ドル

ジェフ・イメルト(任期2001〜2017)

  • 報酬総額 4億1700万ドル(約470億円)
  • 退職金・ストックオプション等 2億1100万ドル(約240億円)
  • 合計 6億2800万ドル(約710億円)
  • 退任時の株価:約25ドル


ラリー・カルプ (任期2018〜2022)

  • 報酬総額 8,400万ドル〜3億1200万ドル*(約100億~353億円)*株価により変動
  • 退職金 1250万ドル(約14億円)
  • 合計 1億〜6億2800万ドル(約114億〜約367億円)
  • 退任時の株価:???


別にラリーが際立って高いというわけではありませんね。


と言っても総額は一番安いものの、年単価はラリーが一番高くなる可能性があります。


彼の報酬総額は在任中の株価により大きく変動しますから、とにかくラリーは株価を上げるインセンティブが物凄く強い環境で働くという事でOKでしょうか?


頑張れラリー!
これは株価を31ドルに戻して367億円をゲットするミッションだ。シンプルだろう???
頼んだよ。

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